番外編で、すごく細かい話しを一つ。

 

離婚または労働事件では、調停や裁判に(つまり裁判所に)、お客様のストーリーを物語調にした「陳述書」と呼ばれる書類を提出することがよくあります。

また、陳述書は、離婚事件または労働事件には限らず、あらゆる種類の事件で活用されます。

こちらに有利な証拠が乏しかったり、経緯が長かったりする事件では、この「陳述書」はとても重要な意味を持ってきます。

離婚または労働事件は、調停で解決できずに裁判まで進むと、本人たちの尋問(テレビなどで見る証人尋問のイメージ)をおこないます。つまり、本人たちが自ら口頭で、裁判官の面前で弁護士などの質問に答える形式で話をします。

ですが、尋問時間というのは限られており、言いたいことを全て裁判官の面前で話すことができるわけではありません。

ちなみに、東京家庭裁判所本庁(霞が関)の離婚裁判では「30分以内でおこなってください」と言われたりします。

労働事件の調停(労働審判の前段階)では、本人自らによる口頭での説明に相当の時間を割きますが、口頭の説明だけですと、言い間違いや緊張による言い忘れなどもあり、また聞く方(裁判官や調停委員)の記憶にも定着しづらいなどのデメリットがあります。労働事件の場合は第1回期日で勝敗が決まるといっても過言ではないので、証拠を出し切るという点でも、言いたいことは全て陳述書に書くべきと考えています。

 

ですので、裁判所の手続きでは、どの段階でも、どのような事件でも、大事なことは「陳述書」にしっかりと書くことが重要になってきます。

 

この「陳述書」をどういう工程で作るかはそれぞれの弁護士次第です。

出来・不出来も弁護士の経験によるところが大きいかもしれません。

ただ、私が考える一番大事なことは、しっかりと時間をかけることです。どんなにベテランでも、時間をかけずに作ろうとすると、良いものはできません。

下書き ⇔ お客様から聴き取り ⇔ 清書・推敲 ⇔ お客様と中間確認 ⇔ 少し時間をおいてフレッシュな頭でもう一度推敲 ⇔ お客様と最終確認

といった具合に、時間をかけて作ります。

 

前置きが長くなってしまいました。

とても重要な書類なので、「完璧な陳述書を作れた!」とお客様が納得してくださる、あるいは自信をもってくださるものを作る必要があります。

そのために当事務所でおこなっている工夫の一つが、「画面共有」です。

弁護士とお客様が同じ画面を見つつ、面前で話を聞きながら、文章を打ったり、修正したり、という具合におこないます。

大した仕組みではないですし、営業など他の仕事をしている人からすれば「そんなの当然でしょ」と思う方もいるかもしれませんが、実践している弁護士は少数派のようです。

他の弁護士たちと共同して事件を受任することがありますが(いわゆる〇〇弁護団、と呼ばれるもの)、そのときに私が陳述書作成を担当して、他の弁護士たちが私の作業を見守るときなど、大方の弁護士が「そんなことやっているんだ」と驚きます。

 

 

 

お客様から見た画面

背中が見えているのが弁護士のパソコンです。

 

 

 

 

 

お客様から見た画面(接写)

弁護士と同じ画面を映しています。

 

 

 

弁護士の画面

 

 

 

すごく細かい話しを最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

こんな風に一つ一つ工夫しながら、お客様が「やりきった!」と納得して事件終結に至ることができるように、お手伝いをしています。

 

日本橋きぼう法律事務所 弁護士 東城輝夫

 

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